本システムは、細菌感染症における診断上の課題を解決します。
細菌感染症は、早期に菌種を正確に同定し、適正な抗菌薬を処方することが重要とされるが、質量分析器等の高額機器を使わない場合、培養検査等で菌種同定に時間がかかるため、実施しないことが少なくありません。このため、医師・技師による経験に依存(経験的治療)し、適正な抗菌薬処方が行えていない場合があります。
このように、適切な診断をせず、不適正な抗菌薬投与が行われてしまう事で、薬剤耐性(AMR:Antimicrobial Resistance)の発生の一因となっています。
これらの課題を解決する、AI画像解析技術を利用した高精度な菌種推定、ならびにアンチバイオグラム(Antibiogram;抗菌薬感受性率表)と連携した適正抗菌薬の選定を支援するアプリが「BiTTE 」です。
アタッチメントを介して光学顕微鏡にスマートフォンを取付け、スマートフォンのカメラでグラム染色画像を撮影します。その画像をクラウド上にアップロードすることで、菌種の推定結果、及び処方すべき抗菌薬候補を提示します。
菌種推定に関して、約千症例・約1万枚の尿検体グラム染色画像と培養検査による菌種確定結果を学習した画像認識AIモデルを構築し、その推論結果を用いています。
抗菌薬の提案に関して、スペクトラムスコアやWHOのAWaRe分類、市販薬の情報も表示することで、より狭域な抗菌薬の選択が可能となります。
検体対象は現在は尿に限られていますが、今後血液、喀痰にも拡大予定です。
また、染色工程を自動化する医療機器(開発中)と併用し、検体の染色品質を一定に保ち、画像診断精度の安定化を図っています。