CFUアッセイは、造血幹前駆細胞の増殖および分化能力を検出するための評価系として知られています。判定するコロニーは、顆粒球や単球などの前駆細胞からなるCFU-GM(Colony Forming Unit Granulocyte-Monocyte)、赤血球の前駆細胞からなるBFU-E(Erythroid Burst-Forming Units)、それら両方の前駆細胞からなるCFU-GEMM(Colony Forming Unit Granulocyte-Erythroid-Macrophage-Megakaryocyte)の主に3種類です。用手法によるコロニーカウントとコロニー分類が一般的ですが、個人の技量に左右され、多大な時間がかかってしまいます。そこでAIモデルを構築し、画像から自動分類が可能か概念実証を行いました。
セルソーターを用いて造血幹細胞をシングルセルで播種し、37 ℃, 5% CO2で14日間培養しました。14日間の細胞培養の後、プレートを顕微鏡で撮像し、シングルコロニー画像をトレーニング用812枚、バリデーション用271枚およびテスト用271枚に分類しました。各画像は熟練作業員によってラベリングし、教師データとして用いてAIモデルを構築しました。作製したAIモデルはテスト用画像を用いて評価し、AIモデルと熟練作業員によるコロニー分類の一致率を求めました。
AIモデルと熟練作業員のコロニー分類の一致率(0.97)、適合率(0.97)、再現率(0.97)、F1スコア(0.97)、AUC(0.99)はすべて高い値となり、高い精度でコロニーを分類できました。混同行列からも特定のクラスに対する予測の偏りも認められず、バランスの良いモデルであることがわかりました。
コロニーのクラス分類ごとについても評価しました。その結果、すべてのクラスにおいて、一致率(Accuracy)、適合率(Presicion)、再現率(Recall)、F1スコアが0.94を超える高い精度を示しました。
CFUアッセイにおいて高精度でコロニーを分類するAIモデルを作成しました。今後はシングルコロニー画像を取得した後、細胞特異的な目印(マーカー)をフローサイトメトリーで解析し、その結果とシングルセル画像を紐づけ、ラベリングを行います。それによって、人の目ではなく細胞特異的なマーカーで分類することで、教師データの主観性を排除し、AIモデルの客観性を高めることを試みます。
このように、弊社では細胞の顕微鏡画像を用いたAIの開発を行っております。AIでの細胞等の画像解析にご興味がある方は、是非以下の連絡先にお問い合わせくださいませ。
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