弊社は、新規性の高いバイオ技術とデジタル技術を有します。
アンメットニーズの高い領域を中心に今後も疾患フォーカスエリアを拡大していきます。
造血幹細胞に関するバイオ技術を用いて、
提供価値の多様化(発見・診断早期化~治療)を目指します。
長期造血幹細胞は造血幹細胞の中でも生涯に渡り、自己複製能と多分化能を有する幹細胞であるため、比較的均一な細胞群のまま移植可能となり、結果としてGVHDをはじめとした重篤な副作用の大幅な低減が期待されます。加えて、治療効果の長期間の持続も期待され、患者の生命予後を大きく改善する可能性があります。
Hoxb5 marks long-term haematopoietic stem cells and reveals a homogenous perivascular niche. Chen JY, Miyanishi M, Wang SK, Yamazaki S, Sinha R, Kao KS, Seita J, Sahoo D, Nakauchi H, Weissman IL. Nature. 2016 Feb 11;530(7589):223-7. doi: 10.1038/nature16943.
https://www.nature.com/articles/nature16943
持続的な造血に関するヒトHSCには数百のバイオマーカーがあり、その中からヒトLT-HSCを選択的に単離することは非常に難しいものでした。
そこで、当社ではAI技術とin vitro機能試験を組み合わせることで、持続的な造血に関するヒトHSCの数百のバイオマーカーからヒトLT-HSCを選択可能なバイオマーカーを同定し、LT-HSCを濃縮することに成功しています。
本技術は、LT-HSCのみならず、その他様々な希少細胞の同定・単離に応用可能であり、さらに当社独自の技術を融合させた次世代型希少細胞同定・単離技術の開発を行っております。この技術のもたらす未来は、個別化医療や希少疾患・難治性疾患を含む多くの疾患の理解や治療法の開発を加速化させる基盤技術となります。
更に、この濃縮したLT-HSCを、当社で開発した培養液(詳細はこちら)を用いて生体外でも分化させないまま培養・増幅させることで、新たな造血幹細胞移植法を開発しています。
先天的に異常のある造血幹細胞を生体外に取り出し、当社の保有する技術を活かしLT-HSCの単離、及び生体外で増幅したのち、必要な遺伝子を導入し、再度患者さんに移植する遺伝子治療の技術も開発しています。
対象疾患としては小児の難治性希少疾患を想定しております。
また、これまでに約6000種類を超える遺伝性疾患(その多くが難治性希少疾患)が報告されており、本技術開発により、今後より幅広い難治性希少疾患への拡大を目指しております。
前述の通り、生体から取得できる造血幹細胞の数は非常に少ないため、造血幹細胞を医療の現場でより広く活用するためには、生体外で細胞を培養して増殖させる必要があります。しかし、生体外での培養条件下では、造血幹細胞は増殖とともに様々な血球細胞に分化してしまうという問題がありました。
造血幹細胞の未分化維持と増幅には、アミノ酸が重要な因子であることに着目し、配合を調整することで、LT-HSCを含む造血幹細胞を未分化維持しつつ増幅する培養液の開発に成功しました。 現時点で、最も未分化な細胞である骨髄系前駆細胞由来コロニー(CFU-GEMM)の存在割合を従来細胞培養液よりも高いまま保つことが可能です。
加えて、移植時の免疫反応のリスクを軽減するために、動物性の血清を含まない、植物由来細胞増殖因子を用いた培養液の開発にも現在着手しています。(三菱ケミカルとの共同研究)